自由な運用が認められており、下げ相場でもリターンを追求することがヘッジファンドの特徴です。運用方法や投資対象などなかなか情報が得にくい商品ですが、今回はヘッジファンドの仕組みについて解説します。
そもそもヘッジファンドとは何か詳しく知りたい方は「ヘッジファンドとは何か簡単に解説!投資信託との意味の違いは?」をぜひ参考にしてください。
また、ヘッジファンドの運用方法については、日本の投資信託と比較しながら解説したこちらの記事をご参照ください。
ヘッジファンドの構成
「ヘッジファンドに投資する」というと、資金管理や実際の売買、報告書の作成など全て運用会社が行うようなイメージになると思います。
運用会社は運用を行う上で最も重要になりますが、実際はファンドを構成する多くの外部業者が存在しており、様々な役割を担っています。簡単に表すと下図のようになります。それぞれの役割について見ていきましょう。
- 運用会社
運用戦略や投資対象を決定し、プライムブローカーを通じて運用の指示を行います。実際にマーケットで取引を行うのはプライムブローカーの役割になるため、基本的な運用会社の役割は運用の指示を行うことになります。
- カストディアン(信託銀行)
ファンドが保有する有価証券や現金の保管・管理を行います。実際にヘッジファンドに投資をする際は、運用会社でなくこのカストディアンに送金することになります。JPモルガンやシティバンク、BNYメロンなど大手の金融機関が多く利用されているようです。
- 事務管理会社(アドミニストレーター)
ファンドの価格算出や税務・法務上の手続き、解約や申し込みの受付など事務作業を受け持つ会社です。ヘッジファンドは様々な金融商品を扱うことから価格算定が難しく、事務管理会社にも高い専門性が求められます。そのため、高いレベルでのノウハウがある大手の事務管理会社に集まる傾向があります。
- 監査法人(オーディター)
複雑で高度な金融商品において適切な評価が行われているかどうかを監査する役割を果たします。事務管理会社の作成する報告書や会計処理に虚偽がないかどうかチェックする会社です。
報告書に信用力を与えることが目的のため、実績と信用のある四大会計事務所(アーンスト&ヤング、デロイトトーマツ、KPMG、PwC)が多くのシェアを占めます。
このような仕組みを取っている理由
では、なぜヘッジファンドはこうした構成になっているのでしょうか。
ひと言でまとめると、投資家の信用を得て資金を集めるためです。
過去にヘッジファンドを騙った詐欺としてポンジスキームが有名ですが、これは投資家から集めた資金を運用せず、配当金と偽って分配するだけの仕組みです。報告書では順調に運用されていると見せかけており、多くの投資家が詐欺に遭った事件でした。
金融リテラシーの高い投資家や年金基金などの機関投資家は、ヘッジファンドに投資する際にファンドの管理体制、運用が本当に行われているか、報告書の監査は間違いなく行われているかといったデューデリジェンスを入念に行い、ファンドを選定しています。
過去のポンジスキームを用いた詐欺事件を振り返ると、運用会社のグループ会社が不適切な監査を行っていたり、カストディアンで資産を保全する仕組みが取られていませんでした。
現在このような仕組みを取っていないヘッジファンドには投資家の資金は集まらず、思うような運用を行うことができません。運用会社が透明性と正当性を投資家に向けてアピールするために、このような仕組みになっているのです。
ヘッジファンドに投資する際の注意点
上記のような仕組みを取っているかどうかが、ヘッジファンドに投資する際にチェックするべきポイントになります。
カストディアンで資金を分別管理していない場合は運用会社が資金を持ち逃げしてしまうことが可能ですし、監査法人や事務管理会社が運用会社の系列であったりすると運用報告書の数字をごまかすことができます。
世界にはヘッジファンドを騙る詐欺案件も多く存在していますが、投資して問題のないヘッジファンドかどうかの判断を個人で行うことは難しいです。
機関投資家も投資しているような世界で認められているヘッジファンドへのご投資を検討されている方は、ぜひヘッジファンドダイレクトにご相談ください。ヘッジファンドダイレクトでは、確実に調査を行ったファンドのみを紹介しているため、納得できる資産運用をサポートします。