エンダウメントとは?エンダウメント投資の意味を解説
資産運用の世界で注目を集めている「エンダウメント」という言葉をご存知でしょうか?金融業界に勤めていない方にとっては、もしかしたら聞き慣れない言葉かもしれません。
エンダウメント(endowment)とは、英語で「寄付」を意味する言葉です。それが転じて金融業界では、「米国の大学基金」のことを指すようになりました。
米国の多くの大学では、卒業生や関係者からの寄付金を受け取って学校運営を行っています。中でも名門と呼ばれる大学では、集まる寄附金の金額も大きくなります。
例えば、日本でもよく知られるハーバード大学やイェール大学では、毎年の寄付金の額は数十億円に上り、運用資産は数兆円規模であると言われています。
これらの大学では、この寄付金を元手にして長期的に資産運用することで、最新の教育を提供したり研究するための財源を確保しているのです。
エンダウメントは金融機関ではありませんが、このような大学には資産運用を専門に行う部署があることも多いです。そしてその部署がとっている資産運用の方針は、個人投資家が参考にできる部分が大きいとして注目を集めています。
エンダウメントの投資戦略
長期視点での運用
エンダウメントの資産運用の原資は寄付金です。そのため、出資者に対する返済義務はありません。つまりエンダウメントの目的は、出資者のためにリターンを生み出すことではないのです。
その代わりに大学側は、集めた寄付金を半永久的に安定して運用することで、大学運営を健全に行うための資金を確保する責務を負っています。
したがってエンダウメントでは、短期的な運用成果に一喜一憂したり、相場の変動に過剰に反応したりする必要がありません。リターン確保や損失回避のために、コストをかけて売買を頻繁に行う必要もありません。
エンダウメントはこうした長期視点での運用により、取引コストを抑制して、安定的かつ効率的な運用成果を目指すのが特徴です。
海外への分散投資を実践
エンダウメントは長期運用なので、長期投資の鉄則とも言われる分散投資を徹底して実践しています。投資対象は自国(米国)だけでなく、欧州などの先進国や高成長が見込まれる新興国など、海外へも分散投資しています。
分散投資では、値動きの異なる複数の資産を保有することで、リスクを分散させることを目的としています。ある資産の値下がりを他の資産の値上がりで相殺することで、全体として安定した成果を期待できます。
このようにエンダウメントでは、グローバルな視点で分散したポートフォリオを組むことで、地政学リスク(特定の地域で戦争や情勢不安が発生するリスク)やカントリーリスク(投資先の政治、経済、税制などの変化によるリスク)といったリスクを抑制しています。
オルタナティブ投資を取り入れる
エンダウメントは、オルタナティブ投資と呼ばれるさまざまな資産に分散投資を行っているのも特徴です。
オルタナティブ投資とは、伝統的な資産である上場株式や債券に代わる代替資産への投資という意味です。具体的には、不動産やコモディティといった実物資産や、プライベートエクイティと呼ばれる未公開株式などに投資するものです。
オルタナティブ投資では、投資対象の値動きやリターン特性が伝統的資産とは異なります。オルタナティブ投資を取り入れることで、ポートフォリオのさらなるリスク分散とリターンの向上が期待されます。
なおオルタナティブ投資には、実物不動産のように流動性リスクが高い(換金しにくい)投資もあります。しかし長期投資を前提としているエンダウメントでは、そのような投資も積極的に行うことができます。
また、海外資産を用いた資産運用の特徴が知りたい方は「海外資産を用いた資産運用(海外投資)をするメリットやデメリット!外国の税金は安い?」もぜひ参考にしてください。
エンダウメントでオルタナティブ投資を実践している有名大学例
エンダウメントでオルタナティブ投資を積極的に実践している有名大学に、先ほどもご紹介した米国のハーバード大学やイェール大学があります。
例えばハーバード大学は、伝統資産の投資割合は約4割程度です。その代わりに、ヘッジファンドやプライベートエクイティ、不動産といったオルタナティブ投資の割合が高いのが特徴です。
その結果ハーバード大学の運用成績は、2015年6月時点で、過去20年間の年率換算リターンが11.8%と言われています。この数字は、同期間の全米大学の平均リターンである6.8%を大きく上回っています。
イェール大学やハーバード大学の運用成績が良い理由は、運用を「優秀な投資家」に任せているという側面もある。これらの成績優秀な運用者には系譜があり、現在ハーバード大学の運用責任者であるN. P.ナーベカール氏もスタンフォード大学の責任者のロバート・ウォレス氏も、「ニューヘイブン (イェール大学所在地) の賢人」と呼ばれるエンダウメントのプロ、デイビッド・スウェンセン氏の「弟子」なのだ。このスウェンセン氏こそ、「イェール投資モデル」を使って過去20年間の年平均運用成績を11.8%と、同期間の全米大学平均の6.8%を大幅に上回るレベルに押し上げた功労者である。
さらに過去10年間の運用実績を見ると、ハーバード大学・イェール大学の両大学のエンダウメントは、米国株の代表指数であるS&P500を大きく超えた実績を残していることがわかります。
ハーバード大学とイェール大学の過去10年間のパフォーマン
を見ると、いずれも、米国株(S&P500指数)を格段に上回り、高いリターンを上げています。
エンダウメントの投資戦略から個人投資家が学べる4つのこと
今回は、資産運用の世界で注目を集めているエンダウメントについて見てきました。実は個人投資家も、これらエンダウメントの投資戦略から学ぶべきことは多いです。
将来の大学運営資金を確保するために長期安定運用を行うエンダウメントと、将来の生活資金を確保するために行う個人の資産形成には共通点が多いからです。
「長期視点での運用」「海外への分散投資」「オルタナティブ投資を取り入れる」といった点のほか、「投資のプロに資産運用を任せる」という考え方を、ご自身の資産運用でも参考にしてみてはいかがでしょうか。
ほかにも資産運用の種類が知りたい方は「資産運用とは?運用方法や投資種類の特徴をわかりやすく解説!」をぜひ参考にしてください。
https://hedgefund-direct.net/column-test/asset-management/
エンダウメントのように投資のプロに資産運用を任せたい方は?
ここまで見てきたように、エンダウメントの投資戦略から個人投資家が学べることは多いです。特に投資のプロに資産運用を任せるという考え方は、投資初心者であればあるほど重要な考え方になってきます。
投資のプロに資産運用を任せてみたい方は、ぜひヘッジファンドダイレクトにご相談ください。ヘッジファンドダイレクトでは、高い利回り実績を残している優良な海外のヘッジファンドダイレクトを紹介することで、あなたの理想的な資産運用をサポートしています。