【2021年最新版】第1四半期のヘッジファンド業界

コロナショックで大幅な資金流出を経験して以来、2020年後半からヘッジファンド業界は値動き・資金流入ともに好調な推移を継続しています。

Hedge Fund Reserchのレポートをもとに、2021年1~3月のヘッジファンド業界の動向と運用戦略別の実績をまとめました。

目次

第1四半期のヘッジファンド業界は好調なスタート

ヘッジファンドリサーチによると、2021年は過去20年超の歴史で最も良いスタートとなりました。3月末までの第1四半期でHFRインデックスは6.08%の値上がりとなっており、運用残高は3.8兆ドルと過去最高を記録しています。

投資家からの資金流入は61億ドル、ファンドの値上がりにより運用資産は2,010億ドルほど増加する形になりました。


Barclay Hedgeから筆者作成、2021年は3月末時点(推計)

高いボラティリティと株式への過熱感から、オルタナティブ資産であるヘッジファンドへの投資が増えているようです。

運用戦略別リターン

当サイト戦略ページで簡単に紹介している通り、ヘッジファンドは様々な投資戦略を展開しています。戦略別のリターン実績を比較していきます。

イベントドリブン戦略

企業固有のイベント(公開買付け、合併、MBO等)を収益機会とするイベントドリブン戦略型ヘッジファンドの第1四半期の値動きは好調で、+8.21%のリターンとなりました。

イベントドリブン戦略の中でもアクティビスト、スペシャルシチュエーション、ディストレストなど様々な分類が可能ですが、いずれの運用戦略もプラスの実績となっています。

イベントドリブン戦略について詳しくはこちら↓

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株式ロングショート戦略

株式で運用するヘッジファンドは、多かれ少なかれ相場の影響を受けるファンドがほとんどです。株式ロングショート戦略全体としては第1四半期に7.36%の値上がりとなりましたが、ヘルスケア株式やテクノロジー株式に投資先を限定するヘッジファンドは3月にマイナスリターンとなってしまいました。

株式ロングショート戦略について詳しくはこちら↓

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グローバルマクロ戦略

世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーターアソシエイツ等、主に大手の実績あるヘッジファンドが取っている戦略がグローバルマクロ戦略です。世界中の幅広い市場を対象にロングショートを織り交ぜて運用する投資方法で、派手な実績を残すことからBloomberg等のニュースにも取り上げられやすい運用戦略と言えます。

ファンドによって実績は大きく異なりますが、全体としては3.83%のプラスとなりました。

グローバルマクロ戦略について詳しくはこちら↓

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リラティブバリュー戦略

債券や転換社債など様々な投資対象の適正価格を算出し、割安な資産は買い、割高な資産は売ることで相場に関係なく絶対リターンを追求する運用戦略です。

全体では3.89%の値上がりとなり、投資対象別では転換社債に投資するリラティブバリュー戦略ファンドが4.85%のリターンと最も高いという結果になりました。

債券リラティブバリュー戦略について詳しくはこちら↓

富裕層向け資産運用のすべて
債券で株式より高リターンの理由。債券リラティブバリュー戦略とは | 富裕層向け資産運用のすべて 「債券は株式よりリスクが低い代わりに、リターンも低い」 多くの投資家が常識としていることです。しかし、ヘッジファンドの認識は異なります。 個人投資家にとって債券と...

S&P500のリターン実績+3.92%と比較すると、いずれの投資戦略もS&P500と同等かそれ以上のリターンを残す結果となりました。

相場の変動幅を示すVIX指数も高い水準を保っており、価格変動を収益機会にするヘッジファンドは全体的に好調な実績となりました。

VIX指数が15~31程度の水準は、株式や債券のバリュエーションが高くヘッジファンドが最もリターンを狙いやすい環境という分析をJPモルガンが発表しています。

米大統領の交代やコロナウイルス関連、仮想通貨の高騰など不確実性が高まっている現状では、今後もヘッジファンドは好調な運用が続くのではないでしょうか。

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