インフラファンドとは、道路や鉄道、空港といったインフラの建設や運営に携わる形で投資を行い、インフラ事業から得られるリターンを投資家に分配するファンドです。社会的意義も高く、ESG投資として注目を集めています。
インフラ事業から生まれるリターンは相場に大きく左右されるものではないため、安定的な収益を長期間得る目的で年金基金などの機関投資家が主な投資家となっています。
インフラファンドの仕組みやメリット、リスクなどを解説します。
インフラファンドの投資先
インフラファンドの投資対象としては、下記のような例があります。
東証にも7ファンドが上場しており、個人投資家でも少額からの投資が可能です。
2016年に上場したインフラファンド第一号であるタカラレーベン・インフラ投資法人(銘柄コード:9281)は、太陽光発電設備を中心とした再生可能エネルギーインフラを中心にポートフォリオを構築しており、投資総額は約193億円となっています。
インフラファンドの仕組み
東証に上場しているインフラファンドの場合、下図のような仕組みを取っています。不動産で運用するJ-REITファンドと類似した仕組みであり、このようなスキームを組むことで少額からの投資が可能になります。
インフラファンド市場の主要な関係者としては、管理会社、オペレータ、スポンサー等が挙げられます。
- 管理会社
インフラファンドの発行者から、その資産運用に係る業務の委託を受けた資産運用会社のことを管理会社といいます。
- オペレータ
インフラ資産現物の運営はオペレータが行います。インフラファンドの収益はインフラのオペレーションによって大きく左右されることから、「オペレータをどのように選定するか」も無視できない指標となります。
- スポンサー
新規上場申請予定の投資主、管理会社の株主等のことをスポンサーとよびます。運用資産の取得や資産の運用を手動するような役割を担います。
インフラファンドのメリット
では、インフラファンドに投資することでどのようなメリットがあるのでしょうか?3つほど簡単に解説します。
①少額での投資が可能
インフラプロジェクトに直接投資するためには、何十億円という多額の資金が必要になります。プロジェクトの評価も個人で行うことは難しいですが、インフラファンドを用いることで専門のファンドマネージャーに管理されるインフラへの投資が可能になります。
②安定したリターン
インフラは生活や経済活動に不可欠なものであり、安定的な需要が見込めることから、景気変動の影響を受けにくく安定した収益が期待できます。
またインフレ等による物価上昇が起きた際にはインフラの利用料も値上がりするため、インフレヘッジの役割を果たすことも期待できます。
③分散投資効果
インフラビジネスのリターンや資産価値は伝統的な資産(株式、債券)との相関性が低く、分散投資効果が期待できます。ただ、上場インフラファンドの場合は株式相場との相関性が高くなる可能性があることには注意が必要といえます。
インフラファンドの投資リスク
インフラは社会にとって必要不可欠であるため基本的にはリスクの低い投資対象になりますが、インフラの状態やファンドの運用方法によってリスクが異なります。
◎インフラファンドの種類
- ブラウンフィールド型
インフラの建設が完了し、稼働している案件のことをブラウンフィールド型案件といいます。安定したキャッシュフローから安定的なリターンを期待することができますが、リスクとしては利用料引き下げといった運営上のリスクがあります。
- グリーンフィールド型
一方、インフラが開発途中にある案件はグリーンフィールド型案件と呼ばれます。開発中の案件では資金調達リスク、工事の遅延リスクなどを抱えることになるためブラウンフィールド型と比較して高いリターンを得られる可能性も高くなります。
東証に上場しているインフラファンドの投資対象は稼働後1年以上が経過したインフラに限定されており、開発中のグリーンフィールド型は除外されています。日本のインフラファンドマーケットはブラウンフィールド型が中心となっていくと予測できます。
◎レバレッジ
インフラ投資は多額の資金が必要になるため、金融機関からの借り入れを利用してレバレッジを用いた投資を行うことが一般的です。
資金調達リスクの小さい環境では問題ありませんが、2008年リーマンショックのような金融危機時には資金繰りが出来ずファンドの投げ売りにより投資家に損失が発生する可能性もあります。インフラファンドがどれくらい借入比率を高める可能性があるのかは事前に確認すると良いでしょう。
オルタナティブ資産としてのインフラファンド
インフラファンドが注目されている大きな理由として他資産との相関性が低いことがありますが、上場インフラファンドの場合は注意が必要です。
三菱UFJ信託銀行『年金資金によるインフラファンド投資』によると、各資産の相関係数は下表のようになっています。
非上場インフラの他資産との相関性は非常に低く分散投資効果の高い資産と言えますが、上場インフラの場合は株式や不動産との相関性がやや高くなる傾向があります。個人投資家がインフラファンドに投資する場合は、こういった点も頭に入れて投資対象を選定する必要がありそうです。
分散投資効果の高い資産としては、ヘッジファンドもおすすめです。最低投資金額というバーはありますが、相場に関係なくリターンを狙うことが可能です。
ヘッジファンドへの投資を検討されている方は、是非ヘッジファンドダイレクトにご相談ください。ヘッジファンドダイレクトでは、あなたの投資目標やニーズに合致した理想的な商品を紹介しているので、納得できる資産運用をサポートします。