ハーバード大学教授が紐解く、株価と実体経済の乖離

2011年に発売され、経済書としては異例の注目を受けた「国家は破綻する」の著者であり、アメリカの経済学者で現在はハーバード大学教授であるケネス・ロゴフ氏Project Syndicate の記事にて、コロナの影響下で不況が拡大する中でもハイテク株を筆頭に株式市場が強気であることの理由を考察し、冬に来るであろう第二波に向けて警鐘を鳴らしています。

目次

株式市場が強気である3つの理由

現在の株式市場が強気である理由とその問題点をロゴフ氏は3点挙げています。

株価は先を見据えて動く

投資家はそれぞれの企業に対して、将来の売上や利益といった企業業績を予測して売買の判断を行います。増益予想がなされている企業も多くありますが、ワクチン開発を楽観したりコロナ第二波の影響を見誤っている可能性も十分にあります。

FRBのゼロ金利政策

米国がゼロ金利政策を導入し、少なくとも2022年末まで金利は上がらないと市場が確信しています。そのため長期資産(住宅、金、アートなど)の価格は全て上昇している状況です。
実際に、米国リート指数と金先物の値動きは下記のようになっています。

しかし、低金利政策が予想通りに継続する保証はありません。
感染拡大防止のため世界的な移動制限が実施、生産能力は低水準に抑えられています。需要が回復しても生産能力はすぐに上げられないため、供給側の制約からインフレが進むと、利上げの可能性も出てきます。

社債市場の直接支援

FRBは社債市場に250兆円規模の資金供給を行うことを4月に発表しました。格付けの低いジャンク債への投資や一般企業への間接融資など、ハイリスクな資金供給も行う方針を示したことで社債市場への買いが集まりました。

社債の発行額を見てみると、投資適格債は約142兆円、ジャンク債は約35兆円と過去最高を更新しています。これだけ発行額が上昇しているにも関わらず国債との金利スプレッドは縮小しており、景気後退の大きさと比較して企業の倒産数は低い水準に抑えられています。

こういった資金注入は一時的なものである可能性が高いとロゴフ氏は述べています。
FRBがジャンク債のリスクを無制限にカバーできるはずもなく、冬に第二波が来るタイミングでリスク許容度を超えた場合は、資金注入を減少させる可能性もあります。

これら3つの理由は実体経済が悪化しながらも株価が上昇している説明になりますが、十分ではありません。

ロゴフ氏はより大きな理由として、社会問題を提起しています。

コロナショックの影響が深刻なのは小規模企業

ロゴフ氏は、コロナウイルスによって引き起こされる経済的ダメージは上場企業ではなくレストラン、クリーニング、娯楽関連といった非上場の小規模企業や個人事業主が主に被っていると述べています。

小規模企業はコロナショックを耐え抜くための十分な資本を持っておらず、小規模企業の倒産により大型の上場企業は市場でのプレゼンスを向上させました。株式相場の楽観には、こうした背景も存在しています。

そして小規模企業への支援は大統領選挙を前に失効し始めており、延長されないでいます。

ブルックス・ブラザーズなど破綻した大企業もありますが、こうした企業はコロナ以前に問題を抱えていた点も多かったようです。

税収への影響

米国政府の税収も減少しましたが、不況の規模に対して減少率は僅かなものでした。国税調査では、2020年度の米国の税収は5.5%の減少にとどまっています。

米国国税調査局より

失業率の増加から大幅な収入減が懸念されていましたが、この理由は明らかで、税金の支払いが少ない低所得者に失業が集中しているからとロゴフ氏は述べています。

おわりに

様々な支援策により株式市場は強気に傾いていますが、実体経済の回復はまだ先になると考えられます。

低金利環境や社債の買い入れがいつまでも続くと過信するのではなく、状況を鑑みて臨機応変な対応が必要になるのではないでしょうか。

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