日本の投資信託と異なり自由度の高い運用を行うヘッジファンドは、独自の運用戦略のもと効率的な運用を行い、どんな相場でも絶対リターンを追求しています。
世界トップクラスのヘッジファンドは、10年以上の長期運用を行いながらもリターンは年率10%を上回るような非常に優れた結果を残しています。
ヘッジファンドへ投資する際に、運用戦略や投資対象を検討することが重要です。投資戦略を知ることで、ヘッジファンドのリスクやリターンの源泉を理解することにも繋がります。
また、そもそもヘッジファンドとは何か詳しく知りたい方は「ヘッジファンドとは何か簡単に解説!投資信託との意味の違いは?」をぜひ参考にしてください。
ヘッジファンドによる運用方法は千差万別で、全く同じ運用を行うファンドは存在しません。しかし、投資対象や運用の方向性によって大枠で投資戦略を分類することは可能です。
メディアに取り上げられることの多い代表的な戦略や、ヘッジファンド全体で残高が多い戦略を中心に8つ紹介します。
それぞれの戦略について詳しくはリンク先記事をご参照ください。
株式ロング・ショート戦略
ヘッジファンドの生みの親と言われるアルフレッド・ジョーンズが採用していた投資戦略です。株式をロング(買い持ち)だけでなくショート(売り持ち)を活用することで、相場が下落してもリターンを狙うことが可能になりました。
株式の中でも業種を絞って運用することが出来るため、小規模なヘッジファンドでも採用できる戦略です。
【株式ロング・ショート戦略】これだけは知っておきたいプロの運用方法
グローバルマクロ戦略
名前の通り経済指標を用いてマクロ経済の動向を予測し、世界中のあらゆる資産でロング・ショートを織り交ぜて運用する戦略です。
レイダリオ率いる世界最大のヘッジファンド「ブリッジウォーター・アソシエイツ」の旗艦ファンドも同戦略を用いており、派手な値動きをすることからメディアに多く取り上げられています。
世界中の資産を投資対象にするため多くの人員が必要で、大手のヘッジファンドにのみ許された戦略といえます。
マネージド・フューチャーズ戦略
最先端のデータやテクノロジーやデータを活用し、システマチックを行います。相場のトレンドを見極め、それに基づいてポジションを構築するトレンドフォローが代表的な投資戦略です。
テクノロジーの進化に伴い、様々なデータを用いての分析が可能になりました。下げ相場でもリターンを上げることが多々あり、近年のヘッジファンドに多く見られる戦略です。
ヘッジファンドが行う最先端のAI運用とは?マネージド・フューチャーズ戦略
債券リラティブバリュー戦略
個人投資家にとって債券は「満期まで保有しながら利息を受取るローリスク・ローリターンな安全資産」という認識が一般的ですが、この債券を売買することで絶対リターンを追求するのが債券リラティブバリュー戦略です。
株式と同じように債券価格の割高・割安を判断し、空売りやレバレッジを活用した運用を行います。
債券で株式より高リターンの理由。債券リラティブバリュー戦略とは
イベントドリブン戦略
企業固有のイベント(自社株買い、合併、買収など)により起こる価格変動から収益機会を狙う投資戦略です。イベントの発表時には価格が大きく上下するため、適正価格に対して割高・割安も生じやすくなります。
【イベントドリブン戦略】個性あふれるヘッジファンドの投資戦略
ディストレスト証券戦略
広い意味でイベントドリブン戦略の1つに分類されますが、財務危機に陥った破綻寸前の企業に投資する戦略です。
事業再生や事業改革に伴う価格上昇からリターンを得るため、事業や法律など幅広い専門知識が求められる投資戦略といえます。
転換社債戦略
「株式に転換できる債券」である転換社債で運用する投資戦略です。株式と債券どちらの特徴も併せ持つことから割高・割安といった判断は難しく、ノウハウと経験が必要な運用手法です。
世界トップクラスのファンドマネージャーとして名声を集めるケン・グリフィンは、ハーバード大学在学中に転換社債を用いたヘッジファンドを立ち上げました。
ファンドオブヘッジファンズ
複数のヘッジファンドに投資するヘッジファンドで、投資先ヘッジファンドの選択方法にそれぞれの個性が現れます。
手軽に複数のヘッジファンドに分散投資することができ、管理を任せることができる点がメリットです。分散投資を行うことから、安定した値動きが多いこともファンドオブヘッジファンズの特徴です。