株価の割高・割安を評価する方法とは?

資産運用を行っている方にとっては常識ですが、景気と株価は必ずしも連動するものではありません。企業の業績を無視した値動きが継続することも多く、行き過ぎるとバブルと呼ばれる状態になります。

バブル崩壊に巻き込まれないためにも、株価の適正水準を評価して割高な時は買わないといった投資行動を取ることが必要です。

本記事では株価評価の考え方や注意点、資産運用への活かし方などわかりやすく解説します。

目次

株価評価の基本ルール

割高・割安を判断する基準として、簡単な指標を4つ紹介します。

成長率

株価は将来の成長も織り込んで形成されます。年間10%ずつ成長する企業より20%で成長する企業の株価は高くなり、成長率が同じであれば成長期間の長い方が株価は高くなります。

配当額

他の条件が同じであれば、投資家が受け取る配当額が多いほど株価は高くなります。

ここで注意するべきは、単純に配当額や配当性向を見て判断するのではないということです。

一般的に、高成長期にある企業は利益のほとんどを再投資に回すため配当は僅かになり、成長余地の乏しい企業の配当は増える傾向にあります。こういった場合は投資先としての魅力が薄いため、期待成長率が同程度の企業を比較する必要があります。

リスク

資産運用においてリスクとは価格変動の意味を持ちます。

過去の値動きからリスクを測定することが可能ですが、同水準のリターンであれば変動リスクの低い銘柄が好まれます。

例えば下記のような値動きをしている2銘柄を比較すると、低リスク銘柄の方が安心して値動きを見守ることが出来るため資金は集まりやすくなります。

金利水準

株式投資においては「株式以外の投資ではどれくらいのリターンを得られるか」も考慮する必要があります。

1980年代初めには米国債10年利回りが15%に達し、株式から債券への資金シフトが見られました。その後株価が下がり金利が下落すると株式の投資妙味も高まり、株式へ資産が向かっていることがわかります。

その後再び金利が急騰し、1987年のブラックマンデーへと向かっていったのです。

現在の米国債10年利回りは1%前後となっており、こういった低金利環境では株式の方が債券より圧倒的に有利なため株価水準も上がりやすくなります。

証券アナリストはこういった指標を総合的に判断した上で適正株価を算定するわけですが、昨年のテスラ株のように予測とかけ離れた値動きをすることも往々にして見られます。

なぜこういったことが起きるのでしょうか?

株価が適正価格と異なる値動きをする理由

この理由は、大きく3つに分類できます。

情報や分析が正しいとは限らない

アナリストは多くの情報をもとに分析を行いますが、全ての情報を得られるわけではありません。市場に出回っていない情報や新しい情報により株価が上下することは頻繁に見られます。

アナリストが「価値」の推定を間違える可能性

正しい情報をもとに将来の成長率を適切に予測できたとしても、それに基づく株価評価が誤っている可能性があります。

株価の決定要素は多岐に渡り、様々な条件を加味した上で適正価格である「本質的価値」を算出することは非常に難しい作業です。

100%の確率で当てられるアナリストやファンドマネージャーは存在しません。確率が高いほど平均リターンも高まり、運用が上手いファンドという評価になります。

市場が理論通りに動くとは限らない

アナリストが正確な評価を行ったとしても、株価がその水準でキープされるわけではありません。

例えば昨年3月のコロナショック時には、多くの投資家がリスク資産の現金化を行ったことで売りが売りを呼び、相場は暴落しました。これは企業の業績見通しが変化したことよりも、投資家のリスク許容度が極端に低下したことが原因です。

投資家の心理的要因も関係するため、株式市場の値動きは単純な数字だけで分析することはできません。

株価評価を資産運用に活かすためには

株価の割高・割安の評価は多くの情報を加味して判断する必要があることから、個人で行うにはハードルが高い部分もあります。実際に資産運用を行う上で、どういったところに気を付ける必要があるのでしょうか。

今後高い利益成長率が見込める銘柄に投資する

GAFAをはじめとする長期で高いリターンを出している銘柄は、いずれも成長株です。

成長株を見つけることは非常に難しいですが、見つけることが出来れば利益の上昇と株価収益率の上昇による二重のリターンが期待できます。

割安な銘柄は買い、割高な銘柄に手を出さない

市場平均と比較して明らかに割高な水準である資産には触れず、平均並みかそれ以下の銘柄を買うとよいのではないでしょうか。

割安な銘柄は下落余地も小さいですが、割高な銘柄は今後の成長期待も織り込まれていることが多く、万が一利益が減少して株価が下落した場合は割高の解消と合わせて二重の下落に巻き込まれる可能性もあります。

適正価格の算出が上手い専門家に運用を任せる

適正価格の算出や割安な成長株を見つけ出すことは非常に難しく、自分で行うことは現実的ではありません。

将来何が起こるかは誰にもわかりませんが、過去に上手く適正価格を算出して優れた運用を継続した実績のあるファンドであれば「価格算定が上手で運用の腕がある」という評価ができ、将来の値動きにも期待できます。

特に世界でもトップクラスのヘッジファンドであれば、割高な銘柄を空売りすることで相場に関係なくリターンを上げることが可能です。

ヘッジファンドの運用方法について、詳しくは当コラム戦略ページをご覧ください。

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