ヘッジファンドとは何か簡単に解説!
テレビや新聞でもたびたび取り上げられるヘッジファンドとは何か?多くの人が疑問に思っているヘッジファンドの内容について徹底解説。
・下げ相場でなぜリターンを狙えるのか
・ヘッジファンドと投資信託との違いは何か?
・ヘッジファンドの運用戦略
等について海外ヘッジファンドへの投資助言で最大手のヘッジファンドダイレクトがわかりやすく解説します。
ヘッジファンドとは
ヘッジファンドとは投資対象として株や債券以外に、通貨や商品、破綻債券など様々なものに投資をし、さらに買いポジションだけでなく空売りのポジションも築くことで、上げ相場だけでなく下げ相場でもリターンを目指す、絶対収益型の運用を行うファンドの総称です。特徴としては、①空売りを行い下げ相場としてもリターンを目指すこと、②レバレッジを使うこと、③信託報酬以外に成功報酬を取ることがあげられます。
高い報酬により能力の高い人材を集めることで、インデックスを上回る運用を目指しています。
運用残高はバークレイヘッジによると、2020年に4323億ドル(約460兆円)と過去最高を更新したと報告されている。
ヘッジファンドと投資信託の意味の違い
比較項目 | 一般的な投資信託 | 一般的なヘッジファンド |
---|---|---|
投資家 | 個人投資家 | 機関投資家 |
運用方針 | 相対収益 | 絶対収益 |
出資金 | 100円〜 | 1,000万円〜 |
運用者 | サラリーマン | 経営者 |
成功報酬 | なし | あり |
空売り | なし | あり |
レバレッジ | なし | あり |
絶対収益と相対収益の違い
ヘッジファンドと投資信託の違いとして運用目標があげられます。投資信託は一般的に日経平均やS&P500などの指数に比べ(相対的)て高いリターンを目指します。相対収益は上げ相場では特に問題となりませんが、下げ相場では問題となります。というのも比較対象に日経平均が-20%だった場合、投資信託が目指すのは-19%、-18%といった日経平均よりマイナスが少ない実績となります。
一方ヘッジファンドは通常絶対収益を目指すといわれ、上げ相場でも下げ相場でもプラスリターンを目指します。
買いポジションだけか空売りもできるかの違い
一般に投資信託は空売りができません。そのため下げ相場では積極的にリターンを目指すことができません。一方ヘッジファンドは下げ相場では空売りやオプションなどを利用することでリターンを目指すことができます。これは投資信託は高い規制の中で運用しているのに対して、ヘッジファンドは少ない規制の中で運用しているためです。
そのため投資信託は誰でも気軽に投資可能ですが、ヘッジファンドは運用知識の豊富な専門家か、ゲートキーパーと呼ばれるアドバイザーを雇って運用する必要があります。
ヘッジファンドマネージャーの違い
一般的な日本の投資信託は販売会社の都合で作られ、ファンドマネージャーが運用していくことになります。特に日本の投資信託は入れ替わりが多く、時に数百のファンドが新しく加わる一方、償還していきます。またサラリーマンファンドマネージャーのため基本的に会社に守られており、大きなマイナスを受けないよう、インデックスファンドに近い無難な運用をしがちな点があげられます。
一方ヘッジファンドはゴールドマンサックスやJPモルガンチェースなどの大手金融機関出身のプロップトレーダーが独立して、退職金などの自己資金と、勤め人だった時のつてを使ってファンドを創設することが多いです。また自己資金の投入のほか運用報酬には成功報酬があるため、好成績を上げるとその分自分の報酬に直結する仕組みになっており、保守的な運用を目指しにくい特徴もあります。
ヘッジファンドの主要運用戦略
株式ロング・ショート戦略
株式ロングショート戦略とは、割安な株を購入し、割安な株を売却することで、市場リスクを抑えながら、個別銘柄の割高度からリターンを目指す手法のことです。完全に市場リスクを中立化させる戦略をマーケット・ニュートラル戦略と呼びます。リスクを抑えることからヘッジファンドと呼ばれますが、最初のヘッジファンドと言われるアルフレッド・ジョーンズの時代から基本戦略は変わっていません。
傾向としては買いポジションが多く、インデックスよりは下げ幅は小さいものの、下げ相場では下がる傾向があります。
アービトラージ(裁定取引)戦略
主に債券や転換社債で利用される戦略で、理論価格と乖離した価格のわずかなゆがみを、レバレッジを使って売り買い同時に売買することにより、さや抜きよりリターンを追求していく戦略です。基本的に買いと売りはペアトレードとなっており、解消するときは同時に解消します。市場リスクを抑えた運用であるが、市場参加者が増えると投資機会が減るため、無理なレバレッジを掛け始める場合があるため、レバレッジ比率には注意が必要な戦略です。
こちらも普段は影響は少ないですが、リーマンショック級の危機時には質への逃避減少から一時的に下落の傾向がみられます。しかし相対的にS&P500などよりは安定していたといえそうです。
イベント・ドリブン戦略
イベントドリブン戦略は、企業の業績など本質的価値以外のカタリストと呼ばれる価格が動くきっかけを利用した運用戦略のことを指します。例えばM&Aや事業分割、民事再生法の利用、破産債券投資などです。市場リスクと連動性が低く、投資対象固有のイベントによる収益のため高い分散投資効果が期待されます。投資がイベントを通過するまで値動きが低いことからリスクが低く表示されがちな点と流動性が低い点は注意する必要があります。
イベントドリブン戦略は少数の投資対象に集中的に投資することが多く、個別性が高いのが特徴です。インデックス通りのイベントドリブン戦略は見たことがないですが、比較的下げ相場では弱い印象があります。しかしその時こそ仕込み時であることが多く、その後高いリターンを出すことも多い戦略です。
グローバル・マクロ戦略
一般的な運用が個別の企業から投資先を決めるボトムアップ戦略が多いのに対し、グローバルマクロ戦略は、経済イベントなど大きな視点から投資先を決めるのが特徴です。イベントドリブン戦略と異なり、比較的流動性が高い市場にレバレッジを使ってポジションを築いていきます。投資対象自体にはこだわりがないため、投資先が一気に変わることもあり得ます。流動性が高い投資対象のため、規模が拡大しやすくブリッジウォーターやブレバンハワードなど大手ヘッジファンドが採用している戦略です。
大手の運用会社は比較的安定運用が多く、小型のマクロファンドは積極型のマクロファンドが多いのが特徴です。現在アクセスできるマクロファンドは比較的インデックスよりハイリスクなものが多いと思われます。
マネージドフューチャーズ戦略
先物を利用したヘッジファンドです。先物は空売りのポジションも築きやすく、流動性も高いため、早い時期からシステム運用を導入しいています。運用戦略は主に2種類、トレンドフォロー系と平均回帰系が多いようです。株式との分散投資効果が高いことから、ポートフォリオに組み込まれることが多い戦略です。
多くのマネージドフューチャーズ戦略はトレンドフォローシステムを採用しており、リーマンショックなどの下げ相場で高いリターンを出しています。運用履歴が短いファンドは、大手との差別化のために、平均回帰戦略やコモディティ特化の戦略など、新しい運用を採用する傾向があります。
マルチ・ストラテジー戦略
複数の戦略を採用したヘッジファンドのことを指します。一般的にヘッジファンドは非常に高度な人材を確保する必要があるため、全く異なる戦略を組み込むことは若いヘッジファンドには困難です。シングルストラテジーで大きくなったヘッジファンドが規模の拡大を目指してマルチ・ストラテジーになることが多いです。比較的リスクを抑えた運用が多く、機関投資家などが好んで投資する戦略です。
ヘッジファンドで資産運用するメリット
運用をプロに任せられる
ヘッジファンドのメリットとして、資産運用をファンドマネージャー(投資顧問)に任せられることが挙げられます。ファンドマネージャーは資産運用のプロであり、豊富な経験と専門知識を活かして絶対収益を追求します。
資産運用の経験や専門知識がない方でも、プロのファンドマネージャーが投資家に代わって運用を行ってくれるため、初心者でも始めやすいと言えるでしょう。
また、本業が忙しい方でも始められるので、不労所得を増やして資産をさらに増やしたい方にも向いています。
ファンドマネージャーがどのような知識や技術を用いて運用しているのか知りたい方は「ヘッジファンドの投資戦略とは」もぜひ参考にしてください。
下落相場でも利益を狙える
ヘッジファンドは、下落相場であっても利益を狙えることが大きなメリットです。一般的な投資信託は下げ相場になると利益を出しにくくなりますが、ヘッジファンドは相場環境に関係なく、利益を出すことを徹底的に追求します。
またヘッジファンドは、国際的な大企業の決算や、要人の発言等市況に影響を与える出来事を加味して、さまざまな金融商品に投資をしています。
上記のような情報をもとに、先物取引や信用取引など高度な取引手法を組み合わせて最適な手法で運用するため、下げ相場でも利益を狙えます。
ヘッジファンドが下落相場でも利益を狙える理由についてさらに詳しく知りたい方は「ヘッジファンドが相場に関係なくリターンを残せる理由」をぜひ参考にしてください。
安定して10%の利回りを目指せる
ヘッジファンドは10%の利回りを目指して運用できることがメリットです。株式投資や投資信託の平均期待利回りは、ミドルリスクミドルリターンのものでも5~9%程度ですので、ヘッジファンドでは株式投資や投資信託よりも高い利回りが期待できると言えます。
ヘッジファンドが10%の高利回りを目指せる理由の一つとして、数倍程度のレバレッジをかけて運用できることが挙げられます。レバレッジとは「てこの原理」のことであり、元手以上の資金で運用することで利益率を高められます。
ただし、レバレッジを効かせると得られる利益は増大しますが、運用に失敗した場合は損失が生じるリスクが高まることも覚えておきましょう。
それでもヘッジファンドでは、ファンドマネージャーが常にリスクヘッジをしながら運用しているので、レバレッジのリスクを最小限に抑えながら運用していくことができます。
参考までに、ヘッジファンドがコロナショックを受けたかどうか知りたい方は「ヘッジファンドがコロナショックで受けた影響とは」をぜひ参考にしてください。
さらに、ヘッジファンド以外で利回り10%を目指せる資産運用が知りたい方は「年利10パーセントを狙える投資商品5選!複利計算シミュレーションや月利を紹介!」もぜひ参考にしてください。
ヘッジファンドで資産運用するデメリット
元本割れリスクがある
ヘッジファンドはリスクを低く抑えた高利回りの運用が期待できますが、元本割れを起こすリスクが存在します。運用を担当するファンドマネージャーは高い能力があるものの、リスクをゼロにすることは不可能であり、元本が100%保証されるわけではありません。
元本割れリスクはヘッジファンドだけでなく、株式投資や投資信託にも存在します。あらゆる投資には元本割れリスクが存在するため、資産運用をする際はこの点に注意をすることが必要です。
またこのような元本割れリスクを下げるためには、適切なヘッジファンド選びをすることが大切です。ヘッジファンドを選ぶ際の注意点について知りたい方は「ヘッジファンドをポートフォリオに組み入れる際の注意点とは?」をぜひ参考にしてください。
対象が富裕層に限られる
投資信託は100円~の投資資金で資産運用が可能ですが、ヘッジファンドで資産運用をするには1,000万円以上の投資資金が必要になってきます。ヘッジファンドで資産運用ができるのは一部の富裕層に限られており、一般庶民にはハードルが高いです。
また、ヘッジファンドは余剰資金での運用を前提としているため、流動性が低く、換金したいときにすぐにできない場合があります。ヘッジファンドは長期投資を前提としており、頻繁に売買を繰り返す短期投資での運用には向いていません。
また、ヘッジファンドでよくある失敗パターンについて知っておきたい方は「ヘッジファンドでよくある失敗パターンを紹介!失敗しないためには?」をぜひ参考にしてください。
流動性リスクがある
一般的にヘッジファンドは現金化まで2~3か月ほどかかります。そのため3日ほどで現金化できる投資信託に比べて流動性が低いのが特徴です。これは投資信託が常に解約に備えて現金を保有しているのとは対照的にあヘッジファンドは効率的にポジションを築いているため、成績に悪影響を与えないようにポジションを解消するのに時間がかかるためと考えられます。
ヘッジファンドがおすすめなのはこんな投資家
1,000万円以上のまとまった運用資金を用意できる
ヘッジファンドは、1,000万円以上の余剰資金があり、効率の良い資産運用をしたい方におすすめです。ある程度の貯蓄があるが運用方法がわからないという方は、まずは運用のプロに任せられるヘッジファンドを検討してみましょう。
自分で資産運用する時間や知識がない
ヘッジファンドは本人に代わってファンドマネージャーが資産運用をするため、仕事などで忙しく、自分で資産運用する時間や知識がない方におすすめです。ただし、日頃から自分でも、最低限のヘッジファンドに関する知識や情報を収集しておくことは必要でしょう。
安定して10%の利益を目標に運用したい
安定して10%の利益を目標に資産運用をしたい方にはヘッジファンドをおすすめします。ヘッジファンドの平均期待利回りは株式投資や投資信託よりも高く、他の金融商品よりも効率の良い資産運用が可能です。
ヘッジファンドを始めたい方は?
ここまで見てきた通りヘッジファンドでは、プロの投資家が絶対収益を目指すことで、安定して10%の利益を目標に運用できます。投資信託とは異なり、最低資金は1,000万円からとなっていますが、それに見合ったリターンを狙えるでしょう。
「自分で運用するよりも、投資のプロに任せられるヘッジファンドを始めたい」と考えている方も多くいることでしょう。
そんな方は、ぜひヘッジファンドダイレクトにご相談ください。ヘッジファンドダイレクトでは、投資のプロがお客様の投資目標やニーズに合致した金融商品を提案しているので、納得できる資産運用をサポートします。
ヘッジファンドの仕組みが詳しく知りたい方は「謎に包まれたヘッジファンドの仕組みをわかりやすく解説」をぜひ参考にしてください。