アルケゴスキャピタルとファミリーオフィス規制

ファミリーオフィスのアルケゴスキャピタルが、過大なレバレッジの巻き戻しを行い市場が動揺しています。

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アルケゴスキャピタルによる市場の動揺

 事の発端は26日ゴールドマンサックスが行った1.1兆円にも及ぶブロック取引でした。バイドゥ、テンセント・ミュージック・エンターテインメント・グループ、ビップショップ・ホールディングス等中国関係企業やメディア企業系のバイアコムCBSとディスカバリー等を中心に株価は急落した。別の報道ではモルガンスタンレーも大口のブロック取引を行ったとの報道もあり、追加のマージンコールによる売却があるか市場は動揺しました。

 29日になると野村証券の2200億円やクレディスイス推定3500億円を中心に巨額の損失を公表し、それに伴って、徐々に匿名でアルケゴス・キャピタルの情報について報道されるようになってきました。

 今回の騒動はアルケゴスキャピタルというシングル・ファミリーオフィス、つまり個人の資金を運用する私的な運用会社が、過大なレバレッジをとったことが要因です。

 アルケゴスキャピタルについては、元ヘッジファンドマネージャーのビル・フアン氏の自己資金を運用していたファミリーオフィスであったため、一部ではヘッジファンドであるとの報道もありますが、開示規制の違いから不適切といえます。

ファミリーオフィスとヘッジファンド

 ヘッジファンドは他人の資金を扱るため、定期的にポジションを開示するフォーム13Fなどの開示規制があります。一方ファミリーオフィスについても、リーマンショックの危機以降、複数家族の資産を預かるファミリーオフィスについては登録の義務が生じましたが、完全に単一家族のシングル・ファミリーオフィスについては特に登録の義務が生じていませんでした。

 現在のヘッジファンドは年金基金など保守的な投資家が増えたため、過大なレバレッジを使わない方向に進んでいます。一方従来ヘッジファンドを通じてハイリスクな運用を好んでいた一部のファミリーオフィスは自前での運用に切り替え、ハイリスクな運用を行っているとの報道もあります。

CFDと開示規制

 今回注目を集めているのはCFD(Contract For Difference”)といわれる「差金決済取引」に関する規制です。従来CFDは日経平均などのインデックス中心でしたが、近年個別銘柄のCFDも増加してきています。これは実際の株式を売買するわけではないため、現在の開示規制からは外れているのが現状です。今後、シングルファミリーオフィス規制だけではなく、CFDに関する開示規制も進むと思われます。通常の信用取引が3倍までに対して、CFDでは5倍までレバレッジをかけることが可能であり、よりリスクが高い手法といえるでしょう。

プライムブローカーとハイレバレッジ

 いずれにしろ、アルケゴスキャピタルがハイリスクな運用を可能としたのはプライマリーブローカーがハイレバレッジを可能とする、信用供与を行ったことが一因と考えられます。大量の売買により、多額の手数料が入ることに目がくらんで、適切なリスク管理を怠ったつけが、今回の野村やクレディスイスの巨額の損失につながったとの指摘もあります。ただし複数のプライムブローカーにポジションを分散していたことが与信管理上不利に働いた可能性はぬぐえません。25日までの間に複数のプライムブローカー間で協議が行われたとの報道もあり、そうなるとまさしくLTCMの再現といえそうです。

 現時点での報道ではプライムブローカレッジとして最大手のゴールドマンサックスやモルガンスタンレーではなく、比較的預かりの少ない野村証券やクレディスイスに損失が集中したことは、興味深い事実です。今後プライムブローカー間で信用供与の情報共有など必要となりそうです。

マージンコール

 口座の資金が、自分が投資しているポジションに対して必要な証拠金を下回っている場合、追加の証拠金を求められることをマージンコールと呼ぶ。今回は必要な追加の証拠金を入金できなかったことから強制ロスカットが実行された。

プライムブローカー

 プライム・ブローカーとは、投資銀行や大手金融機関がヘッジファンドやその他の大口投資顧客に提供する証券貸借、レバレッジド・トレード実行、資金管理などを統合した高度な管理サービスを提供する金融機関のことを指す。

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