英国で最も裕福なファンドマネージャートップ10

ヘッジファンドは日本の投資信託と異なり実績に応じた成果報酬を導入しているため、優秀な実績を残すヘッジファンドマネージャーは巨万の富を得ることが可能です。世界トップクラスのファンドマネージャーの報酬は年間で20億ドル(約2200億円)にも上ります。

Sunday Times Rich Listの推計データをもとに、英国で最も裕福なファンドマネージャー10人を紹介します。

目次

トップファンドマネージャーの資産額

英国のファンドマネージャーの資産額トップ10は下図のようになっています。

それぞれの運用ファンドについて簡単にご紹介します。

Sunday Times Rich Listから作成

1位:マイケル・プラット(80億ポンド)

資産額1位は80億ポンド(約1兆2000億円)で大手ファミリーオフィスのブルークレスト・キャピタル・マネジメントの創設者であるマイケル・プラット氏となりました。

ブルークレストキャピタルは2000年に設立され、投資家の資金を運用するヘッジファンドとして高い運用実績を残してきましたが、2015年に投資家の資金を全額返金、自己資金のみで運用を行うファミリーオフィスへと変貌を遂げました。

他人の資金を預かるヘッジファンドは開示規制などの義務があるため過大なリスクを取る運用は行わないようになっていますが、ファミリーオフィスはハイリスクな運用も可能です。

プラット氏の資産は過去1年で30億ドルほど増加したという推計がされており、現時点ではハイリスク・ハイリターンな運用が成功していると考えられます。

2位:クリストファー・ホーン(25億ポンド)

TCIファンド・マネジメントの創設者であるホーン氏は、約300億ドルを運用するアクティビスト投資家です。プライベートエクイティを投資対象に、経営に積極的に関わることで企業の成長と長期的な利益を目的に運用されており、2017年にはEU離脱による混乱を跳ね返して約28%のリターンを残した実績を持ちます。

ホーン氏は、慈善活動に積極的なことも広く知られています。

3位:マイケル・ヒンツェ(15億ポンド)

1999年に運用会社CQSを設立、クレジットに焦点を当てたマルチ戦略ファンドをロンドンを拠点に長年運営しているヒンツェ氏が3位にランクインしました。

CQSの旗艦ファンドはブルームバーグの発表した実績の高いヘッジファンドトップ3に選ばれたこともあり、長期間運用を継続しているため業界内でも確固たる地位を築いています。

彼も慈善家として知られ、国立美術館、劇場、博物館といったプロジェクトを支援しているようです。

4位:アラン・ハワード(15億ポンド)

4位は大手マクロ戦略ヘッジファンドであるブレバンハワードの創設者であるハワード氏です。ブレバンハワードは2003年の創設以来2011年までは暦年ベースで負けなしの堅調な実績を残し、一時不調に転じるも2020年は5月末までに100%のリターンを上げて復活したと話題になりました。

ブレブンハワードの経営者であったハワード氏が経営から退き、トレーディングに専念したことがこのような実績に繋がったのかもしれません。

5位:クリス・ロコス(13億ポンド)

ロコス・キャピタルマネジメントの創始者であるロコス氏が5位となりました。もともとブレブンハワードの共同設立者でしたが自身でファンドを立ち上げ、現在では約165億ドルを運用する巨大ヘッジファンドになっています。

積極的なグローバルマクロ運用を行い、2016年には20%超の運用成績を上げています。彼もまた慈善家として知られ、オックスフォード大学など教育機関に多額の寄付を行ったことが報じられています。

6位:ジョン・アーミテージ(12億ポンド)

アーミテージ氏は、約277億ドルを運用するエガートンキャピタルの共同設立者です。1994年の運用開始以降株式ロングショート戦略で運用されており、2017年のLCHインベストメンツの調査では最も純利益を増やしたヘッジファンドとなりました。

ファンド設立前はモルガン・グレンフェル・アセットマネジメントのディレクターをつとめ、欧州のリサーチを専門としていました。英国保守党に多額の寄付を行う支援者としても知られています。

7位:ウィリアム・ボリンジャー(10億ポンド)

アーミテージ氏と同じくエガートンキャピタルの共同設立者であるボリンジャー氏が7位になりました。2008年にエガートンを辞任した後は積極的なメディア露出は無く、2012年に少人数でのヘッジファンド立上げをHedgeweekが報じていますが、その後の足取りは掴めていません。

8位:アンディー・ブラウン(8.1億ポンド)

8位は2002年にシーダ―ロックキャピタルを設立したブラウン氏です。

シーダーロックキャピタルの運用方法は割安株に集中投資し、それを長期間保有するというウォーレン・バフェットに近い手法となっています。

投資の神様として名高いバフェット氏ですが、ブラウン氏が第二のバフェットになれるか注目です。

9位:ヤン・フー(7.5億ポンド)

9位のヤン・フー氏は、JPモルガンでキャリアを積んだ後2005年にキャプラ・アセットマネジメントを設立しました。債券系のマクロ戦略を用いて、株式市場や債券市場と相関の低い運用を行っています。

ヤン・フー氏と共同でキャプラ・アセットマネジメントを立ち上げたのは日本人の浅井將雄氏で、日本人が共同設立した独立系ヘッジファンドの中で最も成功しているファンドと言っても過言ではありません。

10位:ロス・ターナー(6.5億ポンド)

ターナー氏は、2007年にペルハムキャピタルを設立しました。現在では10億ドル以上の資産を管理しており、株式ロングショート戦略、イベントドリブン戦略、ディストレスト証券戦略など運用戦略を実践しています。

ターナー氏は大手ヘッジファンドであるランズダウン・パートナーズの出身です。ランズダインパートナーズは空売り戦略を取る旗艦ファンドを昨年閉鎖しており、ペルハムキャピタルとは明暗分かれる形となりました。

ヘッジファンドマネージャーは優れた運用成果を上げれば莫大な報酬を手にすることが可能ですが、結果を出さなければ資金も集まらず運用が継続できないというシビアな世界といえます。

そのためヘッジファンドを利用して資産形成を行うためには、長期的に優秀な実績を残しているファンドを選択することが必要になります。

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