米国テクノロジー株を中心に運用を行い、2020年に2倍になったARK Innovation ETF(ティッカー:ARKK)を運用するARK社のCEOであるキャサリン・ウッド氏が紹介する、いま投資するべきヘルスケア株10銘柄を紹介します。
一躍話題となったARKKとは
グロース株式を対象に積極的にリスクを負う運用を行い、2020年に急激な値上がりを見せたことから注目が高まったETFであるARKKの値動きと組入れ上位10銘柄は下記のようになっています。

順位 | 銘柄 | 割合(%) | 評価額(億ドル) |
1 | TESLA INC | 9.99 | 21.02 |
2 | TELADOC HEALTH INC | 6.21 | 13.08 |
3 | ROKU INC | 5.64 | 11.87 |
4 | SQUARE INC | 4.64 | 9.76 |
5 | SHOPIFY INC | 4.22 | 8.89 |
6 | ZOOM VIDEO COMMUNICATIONS | 4.18 | 8.80 |
7 | TWILIO INC | 3.62 | 7.62 |
8 | COINBASE GLOBAL INC | 3.61 | 7.59 |
9 | SPOTIFY TECHNOLOGY SA | 3.52 | 7.40 |
10 | ZILLOW GROUP INC | 3.37 | 7.08 |
値動きの大きいテスラや仮想通貨関連銘柄に資産の多くを配分しており、新型コロナウイルスの拡大と金融緩和による上昇相場を捉えて高いリターンを記録し、運用資産はこの1年で約10倍にも成長しました。
2021年2月に高値を付けてからは米国長期金利の上昇やコロナショック後不調であった割安株(金融株等)の値上がりによってARKKの成長株中心のポートフォリオは不振が続いています。最高値からの下落率は約30%となっており、やや人気に陰りが見えている状態といえます。
テーパリング懸念や金融緩和継続期待など不確実性が高まっている相場で今後の見通しは難しいところですが、グロース株優位な状況であれば再度高いリターンを残してくれるのではないでしょうか。
キャシー・ウッド氏が勧めるヘルスケア株式とは
ここからは、ウッド氏の推奨する医薬品株の銘柄を簡単にご紹介します。ARK社が公開する13Fというデータをもとに、ウッド氏の推奨銘柄に投資しているかも合わせて紹介していきます。
10位:Veracyte Inc(ティッカー:VCYT)
ヴェラサイトは2006年に設立されたゲノム診断会社です。今年第一四半期の決算では前年比+18%の収益を上げており、年間を通すと前期比+65%の見通しを発表しています。
株価に目を向けると2020年の値上がり率は80%を超えておりますが、直近では大きな調整局面となっています。

同社の前立腺がんの予測や機械学習を利用した技術は高く評価されており、1.6億ドル以上同社に投資しているヘッジファンドもあるようです。
9位:Intellia Therapeutics(ティッカー:NTLA)
インテリア・セラピューティクスはゲノム編集技術の1つであるクリスパーキャスナインのライセンスを保有しており、同技術のノーベル賞受賞によって注目度が大きく高まりました。
2020年の株価は1年間で2.7倍に値上がりしており、目標価格の引き上げが相次いでいます。

ゲノム編集は安全性や倫理上の観点から現時点では課題が多いものの、医療分野や農業分野で広く活用されるようになってきており長期的には多方面に多大な影響を及ぼすことが期待されます。
株価は短期間で高騰したため過熱感も否めませんが、業界全体の成長とともに再度の値上がりもあり得るのではないでしょうか。
8位:Ionis Pharmaceuticals(ティッカー:IONS)
アイオニス・ファーマシューティカルズもゲノム系の会社です。1989年に設立されてからリボ核酸(RNA)をターゲットにした治療薬の開発を行い、ここ数年はボラティリティの高い値動きとなっています。

ウッド氏は直近の数か月で同社への割り当てを2倍以上に増加させているようです。
7位:Invitae Corporation(ティッカー:NVTA)
インビテは2010年に設立された比較的新しい会社ですが、安価な遺伝子検査サービスを提供することで急成長を遂げています。株価は2020年に約60%上昇し、直近では調整局面に入っています。

2021年4月にはソフトバンクグループが約1300億円の投資を行ったことが話題となりました。成長分野での長期的な成長が期待されます。
6位:Fate Therapeutics(ティッカー:FATE)
バイオテック企業であるフェイト・セラピューティクスが6位となりました。がん治療の研究を行い、iPS細胞から免疫細胞を作る技術は広く期待されています。

株価の変動は大きいですが、それを受け入れられる投資家であれば選択肢に入ってくるかもしれません。
5位:CRISPR Therapeutics(ティッカー:CRSP)
5位のクリスパー・セラピューティクスは9位のインテリア・セラピューティクスと同様に、遺伝情報を書き換えたりする技術「クリスパーキャスナイン」を使った医薬品開発を行っています。同技術の2020年のノーベル化学賞受賞に伴い受賞を好感した買いが入り、年末にかけて株価は大きく上昇しました。

ウッド氏はポートフォリオの約2%を同社に割り当てています。
4位:Incyte Corporation(ティッカー:INCY)
インサイトはバイオ医薬品企業で、がんや自己免疫疾患を中心に研究開発を行っています。日本国内でもがん関連の阻害薬であるペミガチニブが2021年3月に厚生労働省から製造販売承認を得るなどの実績があります。

直近の株価は落ち着いた値動きとなっておりますが、今後の研究開発の状況によっては高いリターンも期待できるかもしれません。
3位:Regeneron Pharmaceuticals(ティッカー:REGN)
リジェネロン・ファーマシューティカルズはがんや炎症に対する治療薬の開発・製造・販売に従事しており、新型コロナウイルスの抗体治療薬開発で注目を集めています。

サノフィと共同開発した喘息の新たな治療薬も順調に試験を重ねており、BMOキャピタリはリジェネロンの目標株価を630ドルに設定しました。ARK社も同社への投資を前四半期で170%増加させているようです。
2位:Vertex Pharmaceuticals Incorporated(ティッカー:VRTX)
バーテックス・ファーマシューティカルズは遺伝的異常によって引き起こされる「嚢胞性線維症」の開発で世界をリードする企業です。2021年第一四半期の決算では前年比+14%の売上高を記録し、好調を維持しています。

世界トップクラスのヘッジファンドであるルネサンス・テクノロジーズが同社の筆頭株主であり、5億ドル以上を投資しているようです。
1位:AbbVie(ティッカー:ABBV)
1位はグローバルに医薬品の開発・製造・販売を行っているアッヴィとなりました。最近では白血病の治療薬の開発が進み、株価も順調な推移を継続しています。

バークシャー・ハザウェイも昨年アッヴィを新しくポートフォリオに加えており、最新のデータでは筆頭株主になっています。
おわりに
ヘルスケア関連企業は技術や製品開発の状況によって株価が大きく変動します。個人投資家にとってこういった企業の本質的な価値を見極めることは非常に難しい作業です。
上昇時には大きく値上がりする傾向があるため、ARKやヘッジファンドといった機関投資家の銘柄選択は投資判断の参考になるのではないでしょうか。