転換社債(転換社債型新株予約権付社債)とは?
転換社債とは、保有している期間内に、あらかじめ決められた価格で株式に換えることができる社債のことです。正式名称を転換社債型新株予約権付社債といいます。英語表記では「Convertible Bond」となり、CBと略されます。
あらかじめ決められた価格で株式に換えることができるので、株価が上昇しているときに株式に転換すれば大きな利益を得ることができます。一方で、もし株価が下がっていて株に換えると損してしまう状況の場合には、そのまま社債として保有することも可能です。
転換社債を知る上では、以下4つの項目が重要になります。
・転換価格
・パリティ
・乖離率
・償還日
それぞれの意味についてわかりやすく説明していきます。
転換価格
転換価格とは、あらかじめ決められた、株式に交換するときの価格のことを指します。
例えば、転換価格が200円のA社転換社債を100万円保有しているとしましょう。このとき、株式に転換すると100万円÷200円=5,000株手に入れることができます。
この転換価格が高いか安いかで株式に換えるメリットは大きく異なりますので、転換価格がいくらかはしっかり確認するようにしましょう。
しかし、適切な転換価格がいくらかなんてわからないですよね。そこで、適切な転換価格を調べるためによく利用されるのがパリティです。
パリティ
パリティとは、転換社債を株式に転換したときの価値を示す理論価格のことを指します。パリティは以下の計算式で求めることができます。
パリティ=株価/転換価格 × 100
例えば、転換価格が1000円で現在の株価が2000円の場合、パリティは200円です。もし販売されている転換社債の価格が200円よりも安ければ、すぐに株式に換えれば得するということになります。
このようにパリティを計算することによって、転換価格が適切なのかどうか判断することができるのです。
乖離率
理論的にはパリティは、社債として保有している価値と株式に転換した場合の価値が一緒になります。つまり先程のケースの場合、転換価格は200円に設定されていれば適切な価格と見ることが可能です。
しかし転換社債の価格は、常にパリティ通りになっているわけではありません。なぜなら転換社債の価格は、市場における需給や株価、金利動向によって変動するからです。
このパリティと転換社債の価格の差のことを「乖離率」といいます。乖離率は以下の計算式で求めることができます。
乖離率={( CBの時価-パリティ)/パリティ} × 100(%)
乖離率を求めることで、転換社債がパリティと比較して割高か割安か判断することができます。このようにして乖離率を見ることは、転換社債を購入する上で非常に重要なことになります。
償還日
償還日とは、転換社債の保有者に額面金額を払い戻す満期日のことです。償還日まで債券を保有すれば、基本的に支払った金額は戻ってきます。ただし債券価格は変動しているので、償還日前に解約してしまうと支払った金額が戻ってこないこともあるので注意してください。
転換社債(転換社債型新株予約権付社債)のメリット
転換社債にはさまざまなメリットがあります。今回は主なメリット4つについて、わかりやすく説明します。
株式に転換できる
転換社債の最大のメリットは、あらかじめ決められた転換価格で株式に転換することができる点です。転換価格よりも株価が高くなったタイミングで株式に転換し売却すれば、売却益を得ることができます。
受け取れる金額が定まっている
転換社債を償還日まで保有すれば、あらかじめ決められた金額を受け取ることができます。もし株価が上昇せずに社債のまま保有していても、予定していた金額をもらうことができるので、資産運用の計画を立てやすい金融商品と言えます。
株価が転換価格を下回っても値下がりしにくい
転換社債は、もし株価が転換価格を下回ったとしても、債券としての価格が下支えしてくれるので、一定水準以上に値下がりしにくいことも大きなメリットです。
満期まで持てば元本は戻ってきますし、途中で売却する場合も債券価格が大きく下落しづらいという特徴があります。
利息(クーポン)がつく
転換社債は、社債として保有していれば毎年利息をもらうことができます。普通社債よりも利息が低いのが一般的ですが、現在の普通預金金利が0.001%であるのと比較すれば大きなメリットと言えるでしょう。
ただし、転換社債の中には利息が全くつかないものもありますので注意してください。
転換社債(転換社債型新株予約権付社債)のリスクやデメリット
これまで見てきた通り転換社債にはさまざまなメリットがありますが、当然デメリットもあります。転換社債の主なデメリットは3つです。
価格変動リスク
転換社債は、社債として満期まで保有していれば、基本的に元本が保証されます。ただし、株式に転換した場合や途中で売却する場合、価格変動リスクにさらされることになりますので注意してください。
例えば、株式に転換した後大きく株価が下落する可能性もあります。また、満期前に転換社債を売却する場合に、当初購入した価格より低い価格でしか売却できない可能性もあります。事前にこれらのリスクがあることはしっかり把握しておきましょう。
信用リスク
信用リスクとは、債券を発行した企業が経営破綻するリスクのことです。一般的に債券は、発行体の企業が破綻することがなければ元本が保証される金融商品です。
しかし債券を発行した企業が破綻してしまうと、購入した元本が戻ってこない可能性があります。転換社債などの債券を購入する際は、この信用リスクには特に注意するようにしましょう。
利回りはそれほど高くない
転換社債は、一般の社債に比べると利回りはそれほど高くありません。なぜなら転換社債には、途中で株式に換えることができるという大きなメリットがあるからです。仮に一般社債と転換社債の利回りが一緒だと仮定すると、誰も一般社債を買わなくなってしまいます。
また、最近の低金利の中で発行される転換社債の利回りは一般的に0%であることが多いです。発行した企業が破綻しなければ元本が保証されるメリットがありますが、最悪の場合1円も儲からない金融商品になり得ることはしっかり覚えておきましょう
転換社債(転換社債型新株予約権付社債)の購入や運用を考えている方は?
ここまでご紹介した通り、転換社債は「株式に転換できる」という他の商品にはない魅力を持っています。適切なタイミングで株式に転換すれば大きな利益を得ることも可能です。
一方で転換するタイミングがわからず、利回りがほとんどゼロのまま転換社債のメリットを生かせていない人もいます。「転換社債を購入してみたいけど、いつ株式に転換すればいいかわからない・・」と購入を迷っている人も少なくありません。
そんな方は、ぜひヘッジファンドダイレクトにご相談ください。ヘッジファンドダイレクトでは、あなたの投資目標達成に向けて適切なアドバイスをしているので、納得のいく資産運用をサポートします。