プライベートバンクとは何か?国内PBと海外PBを徹底比較!

日本国内のプライベートバンクを徹底比較!海外バンクとの違いや事業撤退した企業を解説!

プライベートバンクとは、富裕層向けに提供する金融機関のサービスの1つです。総合的な資産管理を専門分野としており、口座開設のための審査が厳しいのも特徴です。

プライベートバンクに興味がある方は、日本のプライベートバンクの口座開設をした方が良いのか?海外のプライベートバンクに直接口座開設をした方が良いのか検討されることが多いと思います。

この記事では日本と海外の各プライベートバンクでどのようなサービスを受けられるか徹底比較したいと思います。

目次

プライベートバンクとは

 プライベートバンクの発祥はスイスです。富裕層個人に対して資産管理や資産運用のサービスを行います。業務は様々な分野に及び、資産承継や法人での資金調達など法律・不動産・税金といった多方面から富裕層の資産を守る業務を行っていると言えます。

プライベートバンクと証券会社との違い

 では、証券会社との違いを見ていきましょう。

 証券会社のリテールビジネスが株式や債券・投資信託を販売するたびに手数料を得るのに対して、プライベートバンクが提供する資産運用サービスは投資助言に近く、ポートフォリオの提案が第一に来ます。

 家具屋で例えると、証券会社が家具を売るのに対してプライベートバンクはインテリアをデザインして家具をセットでコーディネートするようなイメージです。そして、運用額の一定割合に係る投資顧問料がプライベートバンクの収益になるという仕組みです。

 資産残高に対して手数料を得るという基本方針は投資助言会社と同じ構図です。「資産を増やす」という目的が投資家と会社側で一致するため利益相反が起こりにくく、海外の商品も紹介できるため証券会社では取り扱いのないヘッジファンドを紹介できることもプライベートバンクの強みです。

 プライベートバンクの提案するポートフォリオの例としては、多くの富裕層が目指す年率3%程度のリターンを基準にすると以下のようになります。

※欧州系のプライベートバンクを想定

 あくまで一例ですが、内容は特殊なものではありません。債券を中心として、将来のインフレ対策で不動産やコモディティを組み入れています。また、同じ比率であっても個々人のリスクや目標に合わせて運用の中身を変えることが普通です。

 満期の異なる複数の債券を保有することでリスクを抑えたり、逆に劣後債などでリスクを高めてリターンを得るといった様々な運用を行うことができます。

日本におけるプライベートバンク

 外資系プライベートバンクの日本での歴史を振り返ってみましょう。まずは表で簡単にまとめました。

参考:『富裕層のNo.1投資戦略』

 1996年の規制緩和(金融ビッグバン)をきっかけに米国のシティバンクが富裕層ビジネスに参入。日系企業から人員を引き抜き、勢力を拡大していきました。ですが強引なセールスや脱税指南を金融庁に指摘され、2003年頃には富裕層ビジネスを停止。最終的に三度の業務停止命令を受け、日本から撤退しています。

もともとシティバンクはアメリカの富裕層の取引を得意としていたので、そのノウハウを活かして個人の顧客の取り込みを始めました。

しかし、顧客のリスクを度外視した強引なセールスを続けたことで、行政処分を受けることになります。まず2009年に、マネーロンダリングを防止するための本人確認手続き不備などで、1か月の勧誘業務の停止がありました。

また2012年にも、商品のリスクを十分に説明しなかったとして行政処分を科せられています。そしてそのことを受け、日本から撤退することになります。

 その後釜を狙ったUBSは、当時最もメジャーだった国際分散投資を用いてポートフォリオを提案していたためリーマンショックで顧客の資産を守れませんでした。UBSの営業員は、暴落しなかったヘッジファンドに強いクレディ・スイスに移ってしまったそうです。

 リーマンショック後は規制が強まり、金融機関はリスクの高いビジネスを行えなくなりました。そして、フィー(手数料)ビジネスの注目が高まり富裕層・準富裕層をターゲットとした競争が激化します。ところが、富裕層や準富裕層に対しては日本の証券会社と同じ投資信託を取り扱うしかなく、証券会社との差別化ができませんでした。

 高齢の富裕層は国内金融機関に囲い込まれており、収益を上げることが難しくなったプライベートバンクは日本から相次いで撤退していきました。結果としてクレディ・スイスとUBSが生き残り、現在も業務を続けています。

日本国内と海外のプライベートバンクの違い

日本国内と海外のプライベートバンクは、ほとんどの場合で預けられる金額がおよそ1億円からと、条件は似ていることが多いです。しかし、使用言語や強みに違いがありますので、以下で詳しく見ていきましょう。

言語の違い

日本国内のプライベートバンク

日本国内のプライベートバンクは、当然日本語でやりとりができるので、意思の疎通にストレスがありません。開設手続きが比較的簡単であることや、その後のやりとりに関してもコミュニケーションロスがありません。

このようにアフターフォローを含め、連絡がスムーズに行えることは、利用者としては大きなメリットです。

海外のプライベートバンク

海外のプライベートバンクでは、使用言語はその国の言語、もしくは英語になります。日本語ではないので、手続きが煩雑になりやすいというデメリットがあります。

対策としては、日本語が話せる担当者がいるプライベートバンクを探すか、英語ができる知人にサポートをしてもらうのが良いでしょう。

ただし海外のプライベートバンクの口座開設をサポートする会社にはご注意ください。金融庁の注意喚起していますが、「外国銀行代理銀行」の認可がない違法な勧誘である場合が多いようです。

最近、銀行ではない業者が、外国に実在する銀行名が記載されたパンフレット等を使って、日本に居ながら高金利の預金口座を開設できるなどと勧誘する事例が見られます。

日本に居ながらにして、日本に拠点のない外国の銀行の預金口座を開設したり、預金をしたりするには、「外国銀行代理銀行」として認可を受けた銀行で手続をする必要があります。

従って、上記事例のような業者の場合、手数料や預金口座の開設資金を騙し取る詐欺である可能性が極めて高いと考えられますので、くれぐれもご注意ください。

従って、上記事例のような業者の場合、手数料や預金口座の開設資金を騙し取る詐欺である可能性が極めて高いと考えられますので、くれぐれもご注意ください。

金融庁

強みの違い

日本国内のプライベートバンクの強み

日本国内のプライベートバンクは、日本の複雑な税務や法務に順応できるという強みがあります。

また日本国内のプライベートバンクは、多くの富裕層が気にする「相続対策」に優れていることも特徴です。日本の税制に的確に対応し、不動産購入や生命保険の活用で資産を圧縮するなど、節税に有効な手法や商品を提案できます。

日本のプライベートバンクの担当者は日本の銀行出身の人間と証券出身の人間で雰囲気が変わることが多いです。証券系は積極運用、銀行系は保守的な運用や保険の活用が多くなりがちです。

海外のプライベートバンクの強み

海外のプライベートバンクは、仕組債に強みがあるクレディ・スイスを筆頭に、運用のノウハウに強みを持っているのが特徴です。

日本のプライベートバンクが資産を守ることを重視しているのに対し、海外のプライベートバンクは資産を増やすことに長けており、実際に資産運用に関心がある富裕層から高い支持を得ています。

ただし海外のプライベートバンクは日本の税金に対する相談は出来ないため、近年改正があった海外不動産の税制変更などについてのアドバイスは受けられません。

また、海外資産を用いた資産運用をすることのメリットやデメリットが知りたい方は「海外資産を用いた資産運用(海外投資)をするメリットやデメリット!外国の税金は安い?」をご覧ください。

日本の代表的なプライベートバンクサービスを比較して紹介

日本の代表的なプライベートバンクサービスを比較して紹介

日本国内でプライベートバンクサービスを提供しているのは、スイス系企業と日系の証券会社や銀行があります。富裕層人口はさらに増加すると予想され、プライベートバンク事業は今後も競争が激しくなっていくことが予想されています。

ここでは、スイス系企業、日系証券会社、日経銀行、それぞれの代表的なプライベートバンクを紹介しましょう。

スイス系

クレディ・スイス

クレディ・スイスは、チューリッヒに本社を置く世界最大規模の金融機関です。グローバルに大規模な事業展開を行っていますが、中核事業はプライベートバンキングになります。

日本では2009年からプライベートバンキング事業を再開始しました。口座開設をするには最低預入額が5億円以上必要です。

またクレディ・スイスは、リーマンショックに始まった金融危機を乗り切った経歴があり、安定した財務基盤とリスク管理能力が金融市場や顧客に高く評価されています。

UBS

UBSは、スイスに本店があり、50を超える国に金融サービスを提供する世界最大級の金融機関です。

日本には1960年代半ばに設立しており、ウェルス・マネジメント部門は2004年から国内でサービス提供を開始しました。最低預入額は2億円以上になります。

また資産運用ではUBSグループの金融商品にとどまらず、他社商品も投資対象に加えるのが特徴です。近年は自社のラップ口座の承認が受けられたため、本国のスイスと同じような運用ができることを強みにしているようです。ラップ口座の中ではUBSオコナーという自社のヘッジファンドを組み入れながらリスクを下げる運用をしているようです。

ロンバー・オディエ

ロンバー・オディエは、スイスでは老舗プライベートバンクと言われています。運用資産総額は約1,500億スイスフランで、スイスのプライベートバンクの中では最大規模になります。

ロンバー・オディエが日本国内でプライベートバンク事業を開始したのは、2008年からです。最低預入額が1億円以上かつ、金融資産が3億円以上保有していることが必要です。

強力なグローバルネットワークを駆使して、資産運用や次世代への資産承継に力を入れています。

ジュリアス・ベア

ジュリアス・ベアは、スイス・チューリッヒに本拠を置く、プライベートバンク専業でサービスを行っている株式形態の銀行です。

2018年9月に、野村ホールディングスが「ジュリアス・ベア ウェルスマネジメントリミテッド」の株式を40%取得しました。それにより、ジュリアス・ベアと野村の合弁による「ジュリアス・ベア ノムラウェルスマネジメント」が誕生しました。

最低預入額は公開していません。また2020年1〜6月の上期決算では、これまでの上期最高益を記録しました。

日系証券

野村證券

野村證券は、日本の独立系証券会社としてトップを走り続けている証券会社です。証券会社のランキングのほとんどで1位を獲得しているほど、圧倒的なマーケットシェアを誇っています。

プライベートバンク部門は「ウェルスマネジメント業務」と言われています。最低預入額は非公開とされていますが、推定1億円以上ではないかと言われています。

野村證券のプライベートバンクの特徴として、センチュリーオンカードの発行(年会費35万円)、富裕層限定ラップ口座の野村SMA(3,000万円〜)、IPO株式の優先的割り当てなどがあります。

大和証券

大和証券は、日本の大手証券会社5社の一角に当たります。口座開設に必要な最低預入金額は公にせず「基準なし個別対応」となっています。

関係者の話によると一つの目安として「有価証券3,000万円以上で金融資産1億円、または年収2,000万円以上」と設定されているようです。他社と比べるとハードルは低めになります。なお、富裕層限定ラップ口座「ダイワSMA」は1億円から投資できます。

大和証券の強みとしては、資産運用や事業継承、相続対策などを支援していることで、中でも遺言信託は一目置かれています。またIPO株式の優先的割り当ても魅力の1つです。

三菱UFJモルガン・スタンレー(旧メリルリンチ)PB証券

2020年8月より三菱UFJモルガン・スタンレー証券に統合されました。三菱UFJモルガン・スタンレーPB証券は、三菱UFJフィナンシャル・グループの100%グループ会社です。プライベートバンキングを専門としている証券会社であり、最低預入額は1億円からになります。

特徴としては、米国のプライベートバンクと同様に、資産承継、信託・トラスト、保険などトータルでカバーする「ウェルス・マネージャー」であることです。

さらに次のステップとして、資産家自身だけでなくその家族に向けてもソリューションを提供する「ファミリー・ウェルス・マネージャー」となることを目指しています。

日系銀行

みずほ銀行

みずほ銀行は、みずほグループの傘下の1社で、2005年からプライベートバンキング事業を開始しています。資産クラスのハードルが高く、最低預入額は10億円としています。

主にみずほフィナンシャルグループのトップ顧客を対象に、オーダーメイドの金融資産や、富裕層の関心が高い医療・健康・教育情報などを幅広く提供しています。

みずほグループというメガバンクとしての安心感に加え、アメリカの金融機関と業務提携を行うことで、ナレッジの共有を可能にしています。

三井住友銀行

三井住友銀行は、2017年1月にイギリス大手銀行バークレイズとの合弁事業を解消し、現在は「プライベート・アドバイザリー本部(PA本部)」として独自で運営を行っています。

パークレイズと行ってきた運用ノウハウを活かし、金融商品に特化し顧客のニーズに合った提案をしてくれます。また最低預入額は5億円で、国内の資産家や企業オーナーに向けてサービスを提供しています。

またサービス内容としては、三井住友フィナンシャルグループ各社との連携を通じて、各社の強みを活かしたトータルソリューションを提供することが特徴です。

三菱UFJ銀行

三菱UFJ銀行は、三菱UFJフィナンシャル・グループ(略称MUFG)の一角です。

コンサルティングに重点を置き、資産運用や相続、そして事業継承といった総合的なプランニングを各社の連携を通じて実現しています。口座開設に必要な最低預入額は非公開にしています。

またサービスの特徴としては、投資一任契約による資産運用サービス(ラップ口座で5,000万円〜)や、モルガンスタンレーPB証券からの商品提案を受けられる点、海外からの情報を入手できる点などが挙げられます。

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プライベートバンクに資産を預けたい方は?

ここまで見てきた通り、プライベートバンクは海外から日本国内までかなり多くの種類があります。最低預入金額は一億円以上など、プライベートバンクは数百万円の投資信託を購入することとは意味合いが全く異なるため、契約する際は良く精査する必要があります。

プライベートバンクを高級リムジンに例えるならば、担当者はドライバーです。どんなに乗り心地の良いリムジンでも、ドライバーが乱暴なら顧客体験は残念なものになります。

ヘッジファンドダイレクトは通常プライベートバンクでは扱わないような、ヘッジファンドを専門とした助言会社です。そのため株や債券などの伝統的資産においてはプライベートバンクと競合しないため、中立的なアドバイスが可能です。

今のプライベートバンクや担当者に不安を感じている方や今後利用を検討している方は、当社を利用することでより安心してプライベートバンクとお付き合いすることができると思います。

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